世界最古の小説といえば、源氏物語。
今から1000年ほど前に書かれた、宮廷を舞台にした貴族の物語。
現在のラノベ小説の原点とも(一部で)言われています。
1000年前?
イリアスやオデュッセイアは紀元前の作品。
サテュリコンは1世紀。
枕中記は8世紀。
調べてみると、世界には源氏物語より古いお話しもあるようですね。
どうして源氏物語が世界最古の小説といわれるのでしょう?
と、これはこれで大変興味深いテーマなのですが、一旦おいておきます。
なぜなら、今回は紹介したいのは源氏物語にまつわるある「モノ」だからです。
それは、空蝉(うつせみ)と夕顔(ゆうがお)の巻で出てきます。
「伊予の湯桁もたどたどしかるまじう見ゆ。すこし品おくれたり。」
(空蝉)
軒端荻(のきばのおぎ)が碁の目をテキパキと数える様をこっそりと覗き見していた光源氏は思います。
(品がないなあ。伊予の湯桁の数まで簡単に数えてしまいそうだ。女性はもう少しおっとりしてる方が魅力的だよ・・・。)
「国の物語など申すに、「湯桁はいくつ」と、問はまほしく思せど、あいなくまばゆくて・・・」
(夕顔)
伊予介が赴任先から戻ってきたので、「あの有名な伊予の湯桁はいったいいくつあるのですか?」と聞きたいところだったが、自分が彼の妻や娘にしでかしたことを考えるときまりが悪くてしかたのない光源氏であった・・・。
上の2つの描写は、光源氏の「しでかしたこと」を通じてそれぞれ関連があるのですが、やはりテーマと関係がないのでこれ以上は触れません。
(しかし光源氏の女性に対するダメ男っぷりは清々しいほどです。)
さて、今回紹介するのは、この「伊予の湯桁(いよのゆげた)」。
物語の中では、物の数の多いことの例えとして使われています。
道後温泉は当時、大規模な温泉地として有名だったのですね。
そもそも湯桁ってなに?という疑問の浮かぶ方面もあろうところですが、
・浴槽そのもの
・お湯の貯まった大きな池に板をいくつも渡したもの
・お風呂に入る際の個人用の囲い
などいろいろな説があるようです。
この「伊予の湯桁(いよのゆげた)」をイメージして作られた足湯が道後にあります。
道後温泉本館の東側の通りを北に向かってすぐ左手。
無料で楽しめる道後の足湯・手湯の中では最も大きい部類に入るこの足湯。
ビールやソフトドリンクを注文することもできる快適さで、ゆったり、ゆっくりと楽しむことができます。
道後の足湯・手湯巡りでは、必ず立ち寄りたい足湯です。
源氏物語では、光源氏と「伊予の湯桁(いよのゆげた)」はあまり相性が良くありませんでした。
この足湯、ダメ男と縁を切りたい方には効果がある、かもしれません。
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